不測の事態 2015 5 6

2015年5月5日の時事通信社には、このようなニュースがありました。

ホルムズ海峡でイギリス商船に随伴、アメリカ軍

【ワシントン時事】アメリカ国防総省のウォレン報道部長は4日、
記者団に対し、アメリカ海軍の軍艦が、
ホルムズ海峡を通過するイギリス商船に随伴したことを明らかにした。
イランによる通航妨害をけん制する狙いがある。
 イランは先週、同海峡で、マーシャル諸島の貨物船を拿捕(だほ)。
アメリカ軍は、この後、アメリカ商船に軍艦を随行させる措置を講じたが、
外国商船に付き添ったのは初めて。
ウォレン氏によれば、イギリス側から要請があったという。
(引用、以上)
 ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾の出入り口となる海峡で、
大型の船舶が安全に航行できる領域は、非常に狭いと言われています。
 日本は、輸入する原油の8割をペルシャ湾経由で運び出しています。
そういうわけで、ホルムズ海峡で「不測の事態」が起これば、
日本のエネルギー資源も、「不測の事態」となります。
 日本とイランの関係は、比較的良好ですが、
サウジアラビアとイランは、対立しています。
一方がスンニ派の盟主、一方がシーア派の盟主であり、
その代理戦争の場所が、イラクとなっています。
イラクの混乱は、スンニ派とシーア派の対立が原因です。
 問題は、代理戦争の舞台がペルシャ湾になる可能性を考えておく必要があります。
もちろん、ペルシャ湾が「紛争地域」になってしまうと、
サウジアラビアにとってもイランにとっても、「大損」ですが、
往々にして、紛争というものは、現場から始まってしまうものです。
 中央政府の意向に反して、
現場の兵士が蛮勇を発揮して紛争が始まってしまう可能性があります。
(中国の人民解放軍の現場では、中央政府の意向に反して、
現場の兵士が蛮勇を発揮したことが何回もありました)
こうした紛争に、日本の船舶が巻き込まれる可能性があります。
 日本人の99%が平和ボケをしています。
不幸なことに、99%の政治家も、平和ボケをしています。
国会をよく観察すれば、そう思います。
誰が、この国の面倒を見ているのか。
不明です。
 平時に有事を考える。
それが、危機管理というものです。
いざ、有事になってしまうと、誰もが異常心理になってしまい、
冷静な判断はできなくなるのです。
だからこそ、平時に有事を考える必要があるのです。

8800億円の請求書 2014 11 30

書名 アメリカはいつまで超大国でいられるか
著者 加藤 英明  祥伝社新書

 アメリカ人が、著者に、こう尋ねた。
「アメリカが中東の石油を必要としなくなったら、
今は、ペルシャ湾の自由航行を護るために、
第五艦隊を貼り付けているが、撤収することになるね。
年間80億ドル(約8800億円)も、かかっている。
 アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、
日本が、その後を引き受けてくれるかね?」
(以上、引用)
 アメリカでは、時々、国防長官の交代がありますが、
誰が次の国防長官になっても、
国防予算をどう削減するかが、重要な仕事です。
 一方、アメリカでは、シェール革命により、
世界最大の「産油国」になることが有力視されています。
 さあ、日本は、どうする。
海上自衛隊の大艦隊をペルシャ湾に駐留させるのか。
それとも、毎年、必要経費をアメリカに支払うのか。
 もちろん、サウジアラビアも、
アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、大いに困ることになるでしょう。
 なにしろ、ペルシャ湾を挟んで、
中東の軍事大国であるイランと対立しているからです。
サウジアラビアは、人口が少ないので、
どう頑張っても、軍事大国になることはできません。
 もちろん、ひとつだけ方法があります。
核兵器を開発しているイランと同じように、
サウジアラビアも、核兵器を開発するか買うという方法があります。
 ただし、核兵器を開発するにしても、買うにしても、
ハードルが高いものとなります。
 そうなると、サウジアラビアと日本は、
ペルシャ湾をめぐって、お互いに軍事同盟を必要とする国になりますか。
 アメリカは、シェール革命がなくても、
「あんな危険なところから引き揚げたい」というのが深層心理でしょう。
 アメリカは、キリスト教国です。
聖書の最終章には、恐ろしいことが書いてあります。
どう読んでも、人類にとって「最終的な戦争」は中東で起こると読めます。
こうした聖書を子供の頃から読み聞かされてきたアメリカ人にとっては、
中東の石油を必要としなくなったら、早く引き揚げたい気分でしょう。
 Lexus-A時代を、日本は、どう生き残るのか。
「Lexus-A」とは、 東京大学准教授の池内恵氏が作った言葉です。
 これは、「League of Ex US Allies」の略であり、
日本語では、「元アメリカ同盟国連盟」だそうです。
サウジアラビア、トルコ、イスラエル、日本、さらに英国がメンバーらしい。
 おそらく、アメリカ本土が攻撃されない限り、
アメリカは動かないと考えておくべきでしょう。
それが、同盟国の、いや元同盟国の心得でしょう。

















































































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